社団法人 日本自閉症協会東京都支部

●発達障害に関する報道に対する要請(JDD)

2008 年5 月9 日
報道機関 各位
日本発達障害ネットワーク
代表 山岡 修

発達障害に関する報道に対する要請


「日本発達障害ネットワーク」は、従来制度の谷間に置かれ支援の対象となっていなかった、あるいは 適切な支援を受けられなかった、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、 注意欠陥多動性障害等の発達障害のある人およびその家族に対する支援を行うとともに、発達障害に 関する社会一般の理解向上を図り、発達障害のある人の福祉の増進に寄与すること目指し、2005 年12 月3 日に発足しました。
2008 年4月現在、正会員(全国団体)16、エリア会員(地方団体)44、合計60 の発達障害関係の当事 者団体、学会、職能団体が会員となり、中央省庁の各種委員会に委員を輩出するなど、日本を代表す る発達障害関係の全国組織として活動しています。


2008 年3 月18 日に少年にホームから突き落とされ、岡山県職員が亡くなられた事件につきましては、 被害者の方およびご家族の方に心からお悔やみ申し上げます。さて、この事件に関して、2008 年4 月 24 日の新聞各紙は、「付添人の弁護士により、少年が簡易鑑定の結果、広汎性発達障害の一種である アスペルガー症候群と診断されていたことを明らかにされた」という内容を掲載しました。
今回の報道では、この障害が、「犯罪などの反社会的行動に直接結びつくことはない」、「犯罪傾向と は無関係とされる」と付記している新聞が数紙ありましたが、いずれの記事も「事件を起こした少年には、 アスペルガー症候群という診断がついていた」ということだけが強調され、障害が単純に事件に結びつ いているかのように誤解されかねない形で報道されています。


報道の役割は、迅速さも求められますが、それ以上に正確で誤解のない情報を社会に報じることにあ ると思います。一度新聞に掲載された情報は、後日になって誤りであったと付け加えても、初報を読ん だ読者の認識が正しく修正されることは少ないと考えます。
特別支援教育の推進や発達障害者支援法の施行などにより、発達障害に対する国の取り組みが始ま り、当事者団体や関係者の努力の積み重ねもあり、ようやく発達障害に関する正しい情報が社会に少し ずつ広まりつつあるところです。しかし、誤解を招きかねない報道が一つでもありますと、これらの努力も 水泡に帰してしまいかねない上に、発達障害のある人とその家族や、関係者に多大な精神苦痛を与え たり、生活に支障を来したりするケースもあります。
新聞の影響力が極めて大きいものであることをご認識いただき、発達障害に関して取り上げる際には、 上記の点に十分留意いただくようお願いします。
改めて次の事柄を、「日本発達障害ネットワーク」として要請します。

1.発達障害の診断を受けていた場合でも、本人の状況に配慮し、本人への告知をしていない場合
が少なくありません。当事者自身も正しく説明を受けていない場合には、診断名を公表すること
は、差し控えていただくこと。
2.事件と発達障害の因果関係が司法精神医学的に解明されていない段階においては、注釈の有
無を問わず、障害名を報道することは控えていただくこと。
特に、初報では原則として、障害名に触れないこと。
3.報道機関として、日頃から、発達障害に関する正しい情報を報道するようご尽力いただくこと。
以上




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