社団法人 日本自閉症協会東京都支部

●福祉有償運送に関する要望書

昨年の国会で道路運送法が改正され、今年10月より、施行される運びとなりました。
今回の改正で、発達障害者の利用が制限されることのないよう、国交省が募集していたパブリックコメントに、下記要望書を提出しました。


 

 平成18年7月21日
国土交通省自動車交通局旅客課 御中
社団法人日本自閉症協会東京都支部
支部長 中村 文子

自閉症や知的障害を持つ人や子どものための
福祉有償運送に関する要望書

 日頃より自閉症を持つ人や子どもが生活しやすい仕組み作りの推進に向けてご理解をいただきありがとうございます。私たち(社)日本自閉症協会東京都支部は,自閉症を持つ子の親や障害当事者,その支援者を会員とする団体で,東京都の会員を中心とする支部です。会員のお子さんの中には知的障害を併せ持つ人や子どもも多いため,知的障害にも常に関心を持って活動しております。
このたびは道路運送法の改正にあたり,現在,省令案へ向けてのパブリックコメントが実施されていますが,自閉症を持つ人や子どもの移動の保障に向け,下記の3点を要望いたします。

1 【改正内容2-1(2)②運送の種類に関連して】
福祉有償運送の対象としてはガイドラインを踏まえ「知的障害,発達障害等により単独での移動が困難な者であって、単独では公共交通機関を利用することが困難な者」としてください。
福祉有償運送の対象として「NPO等によるボランティア有償運送検討小委員会報告書」では「肢体不自由、内部障害(人工透析患者等)、精神障害、知的障害等を有する者、若しくは介護保険法第19条に基づく要支援者認定を受けている者であって、独立した歩行が困難な者であり、単独ではタクシー等の公共交通機関を利用することが困難な者であると確認された者」となっています。しかし,この定義は,自閉症や知的障害の生活上の困難を反映していません。自閉症や知的障害を持つ人は歩けなくて困ることはあまりないのですが,常に移動に見守りが必要な人も多いのです。この報告書では,外形的に判断できるということを利用者の範囲限定の根拠としていますが,移動に関することにかかわらず,外からわからない障害であるということが自閉症や知的障害の理解を困難にしていると思います。そのことを十分に配慮してください。
もともとこの改正のきっかけとなったガイドラインでは「その他肢体不自由、内部障害(人工血液透析を受けている場合を含む。)、精神障害、知的障害等により単独での移動が困難な者であって、単独では公共交通機関を利用することが困難な者」も対象と定義されており,歩行が条件とはなっていません。このような定義の違いによって,今まで利用していた障害者が利用できなくなることがないように要望します。

2 【改正内容2-1(2)⑧登録時に必要となる輸送の安全および旅客の利便を確保するために必要な措置に関連して】
自閉症や知的障害を持つ人や子どもがなじみやすく,使いやすい一般乗用自動車のみを使用する団体でも79条登録ができるようにしてください。
今回の改正にあわせ,セダン特区が全国展開となり,一般の乗用車でも福祉有償運送ができるようになると聞いていますが,福祉有償運送を行う団体は,少なくとも一台は福祉車両を保有すべきという意見が強いとも聞いています。しかし,1と同じく,自閉症や知的障害を持つ人は,乗降用の装置がないから公共交通機関の利用が困難なのではありません。むしろ自閉症や知的障害を持つ人や子どもにとっては,一般の乗用車の方がなじみやすく,使いやすい場合が少なくありません。普段使っているような車で移動できることが,自閉症や知的障害を持っている人や子どもにはむしろ大事なのです。
すでにセダン特区の指定を受けた自治体で,80条許可を得て一般乗用自動車のみを使って運行している団体があり,特に問題なく運営されています。福祉車両でなければ利用できないとすることは,障害を理解していただいていないばかりでなく,不要な設備への投資を団体に強いることになりかねません。セダン型車両のみでも福祉有償運送ができるようにしてください。

3 【改正内容2-1(2)⑦自家用有償旅客運送に係わる関係者の合意に関連して】
運営協議会で利用者の声が反映されるよう障害種別に配慮した利用者の代表が入るように配慮してください。
残念なことに東京都内の運営協議会でも,知的障害を持つ人や子どもは対象としないという協議となった地域もあると聞いています。しかし,今まで説明してきました通り,自閉症や知的障害を持つ人は,身体に原因があって移動ができないのとはまた違う,それぞれの障害に由来した移動に関する困難を持っているのです。例えば,決まった人が迎えに来なければ不安になる,過去に運転手にどなられたことがフラッシュバックして思い出されてしまうなど,一般の人と同じように一人で公共交通機関を利用するのが難しい人が少なくありません。
運営協議会で,自閉症や知的障害を持つ人や子どもが対象外になることがないよう,自閉症や知的障害をよく理解する利用者代表が必ず入るなど運営協議会の運営に関する通知などで徹底させてください。                                                                以上




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